本物研だより

特集

第3回 50年前の暮らし

ほんの50年で、日本の暮らしは大きく変わりました。いまは何でも手に入る時代です。
でも、モノが手に入りにくかった50年前の方が“幸せ”と感じることが多かったようです。それはなぜでしょうか?

今回は、いま当たり前にある暮らしを振り返っていただきたいと思います。

百姓とは農民のことだと思っている人が多いと思いますが、
「百の姓をもつ者たち」「百の仕事をする人たち」、つまり庶民を表す言葉でした。
庶民はほとんど農民であったため、だんだん百姓=農民というイメージになってきましたが、もともとは農業、漁業、林業という職業はありませんでした。

土地があれば田畑にする。海があれば漁をする。山があれば山仕事をする。
そのどれか一つではなく、できることなら何でもやったのです。

余裕があれば牛や馬やニワトリを飼ったのです。

私のいなか(滋賀県虎姫町)も田畑が主でしたが、牛やニワトリ、鯉(こい)も飼っていました。
子供のころ、家族で遊びに行くと、必ずニワトリか鯉を御馳走してくれました。
時々、肉を出してくれた時もありました。

「坊、これ何の肉か知ってるか」と聞かれて「牛!」と答えると、
「違う」と言われました。ある時は馬、ある時はイノシシ、ある時はヤギでした。
山ではシイタケを育てていたし、マツタケ、タケノコ、柿やあけびを採って来てくれました。
とにかく珍しいものがたくさん食べられました。
さらにカイコを飼っていました。そのあたりは、みんな、そんな風に暮らしていました。

農業でもなく、林業でもなく、しかし、野良仕事も山仕事もしていました。
米も野菜も作っていました。家畜も鯉も飼っていました。
1日中、忙しく、いろんなことをしていました。まさに百姓だったのです。

うちの家族は、よくいなかに遊びに行きましたが、そういえば、いなかの人は、
都会の私の家に遊びに来ることはありませんでした。
いま思うと、その家はお金はあまりなかったのでしょうけれど、とても豊かに暮らしていたのです。
思えば、それが昭和30年代。ほんの50年前でした。

 

もう少し、その頃を振り返ってみます。

 

一つの村は一つの家族のように暮していました。

農繁期は学校も休みになり、みんなで田植えや刈取りをしました。
なにかあるとみんなで寄りあい、みんなで祝い、みんなで大騒ぎしました。
村で生まれて、村で結婚し、村で暮らし、村で死んでいくのが当たり前でした。中には、飛び出していく者もいましたが、それはわずかでした。

 

 

 

村には、鍛冶屋もいた、炭焼きもいた、焼物師もいた、医師もいた、葬儀屋もいた。
必要な仕事は、必ず誰かがやった。誰かができるようになった。

 

しかし、それも職業ではなく、ふだんはみんなと同じ、百姓でした。
大雨で川があふれそうになったら、みんなで土のうを積み、堤防が決壊したら、
みんなで堤防を直し、みんなで田畑も道も復旧しました。

台風で家が壊れたり、みんなで家を建て直しました。
みんなが家族だから、老後の不安もなかった。

そもそも「老」があったが、「老後」はなかった。そもそも「老後」ってなんだろう。

年金、生命保険、老人福祉、介護など、現在のような国の制度や
社会システムなどは何もなかったが、みんな安心して暮らしてました。

 

GNP(国民総生産)はいまの30分の1だったけれど、GNH(国民総幸福)はいまよりはるかに高かった。

日本もブータンのようだったのではないだろうか。
この50年、日本が努力してきた結果が現状だとしたら、いったい何をやってきたのだろう。
この50年で急成長した大企業が軒並み、
「史上最大の赤字」「大量解雇」「工場閉鎖」「拠点集約」「吸収、買収、売却」。
失業、失業で大騒ぎ。

 

いまこそ、これを機に方向転換が必要なことは明らかだと思う。
まず、食料の自給自足をめざすこと。

 

日本とドイツの違いをかんたんに述べます。

・日本は、減反政策と補助金、新農業法により農家の生産意欲を削いで来た。

・ドイツは、正反対。欧州共同体(EC)で共通農業政策(CAP)を導入。
生産増加、農家所得の維持、市場の安定化を図ると同時に、消費者に合理的な価格で食料品を供給することを目標とした。
輸入農産物には関税と課徴金をかけ、域内の農産物は補助金によって価格を維持し、域内農家を手厚く保護した。
農家は生産意欲をかきたてられ、土地の集約化によって生産は増加した。

いまからでも遅くはない。今までの間違いを改めること。
農政を180度転換しなければなりません。

 

 

★日本政府として

・ドイツ(EC諸国)のように、自給自足をめざして、農業、農地を守ること

・企業が農地を買収して農地以外に転用することを禁止すること

・農作物や食料の輸入に関税と課徴金をかけ、その財源で農業を復興すること

★私たちのできること

・国内の農作物を買うこと。輸入ものをできるだけ買わないこと

・家庭菜園、市民農園、援農をすること。お百姓さんをめざすこと

・飽食やぜいたくをやめる。必要な意思表示をする

 

※参考 『農協の大罪』(山下一仁著 宝島社新書)

 

 

少し昔に戻るだけで、自分も地球も大きく変わるかもしれません。
誰かがやってくれるだろうと待っている時ではありません。動くのは自分自身です。
ぜひ、できることを前向きにしてほしいと思います。

 

 

■□■プロフィール■□■

NPO法人ネットワーク『地球村』代表高木善之(たかぎ よしゆき)

「美しい地球を子どもたちに」と呼びかけ、環境と平和を中心に、社会問題や生き方について多くの講演を続けている。
1947年大阪府生まれ。大阪大学卒業。パナソニック在職28年、退職し講演や執筆活動に専念。
地球環境、生き方、人間関係、(コミュニケーション、コーチング)などの講演、研修、ワークショップの講師。
著書は、『大震災と原発事故の真相』『幸せな生き方』『コーチング・ワークショップ』
『選択可能な未来』『オーケストラ指揮法』『生きる意味』『非対立の生きかた』『本当の自分』
『ありがとう』『だいじょうぶ』『いのち』『新地球村宣言』 など多数。
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