本物研だより

特集

手抜き工事はお客様が原因?建築業者が原因?

私が、5年ほど前に書いたものです。

 

☆☆☆何故、住まいのリフォームや増改築で手抜き工事が起こってしまうのでしょうか。
私の知り合いの業者からも、よくお客様から手抜き工事だと言われて悩んでいる話を聞くことがあります。
その人達の人柄を考えると、最初から手抜き工事をするつもりでやってしまったとはどうも思えません。
もちろん最初から誤魔化すつもりでやっている人もいます。私も数多くの現場で、どうみても悪意を感じられる施工を見てきました。
ところが、そのようなところは一部の業者であって、大半のリフォーム会社や建築会社はもっと良心的だと思います。
それでは、良心的な業者が手抜き工事だと言われてしまうのは何故でしょうか?

詳しく話を聞いてみると、お客様にも大きな原因がありました。
リフォームや増改築は古い壁や床を壊してみないと、どうなっているかわかりません。
例えば、浴室が古くなったので新しくユニットバスにリフォームしようと、見積りを何社かに取りました。Aという業者が安かったのでその業者に工事を依頼しました。

浴室を壊してみたら、柱や土台が腐っていて交換しなければならない状態でした。安く見積っているので、柱や土台の交換まで見ていませんでした。

当然お客様に話して、その分の追加工事金額を出してもらわなければならないわけですが、A業者は過去に別の仕事で追加を請求したら
「見積りしてもらった工事代金しか払えない。」と言われた苦い経験がありました。

今回も、また追加は貰えないかもしれないという不安が脳裏をよぎりました。しかし、正直にお客様に話したら交換しないわけにはいかないだろうとその部位を隠して何事もなかったように次の工事を進めることにしました。

ところが、お客様に見つかってしまい、「手抜き工事だ。」と言われて、工事は中止になり、損害賠償もしなければならなくなってしまいました。

もちろん、このA業者がやったことは私も『手抜き工事』だと思いますし、追加の話をするべきだったと思います。

でも、仮にそうしたとしてもA業者が思ったように追加は出してもらえなかったかもしれません。実際に、そのような例は少なくありません。
A業者の言い分を聞けばおそらく、「何社も見積りしているのだから、そんなところまで見積り金額に入れていたら仕事は取れないよ。」
と言うでしょう。

そのことに対しては、「◯×◯×◯のようなことがあるかもしれないのでそのときは追加工事費用が発生しますのでお願いします。」とひと言添えておきます。その一言を伝えておくだけで、大抵のトラブルは解消されます。

それでも工事が始まってしまえば、お客様は了解していながら、払ってくれないかもしれません。
お客様にしても、少しでも安く済ませたいのは当然ですから・・・。

以上のようなことが実際のリフォーム工事のやりとりでは起こっています。
リフォームや増改築を頼むお客様が不安に思っているのと同じように業者もお客様に工事代金を払って貰えるのか心配しているのです。☆☆☆

 

以上が5年ほど前に書いたものです。

 

つい先日は上記とは対照的なことが起こりました。
Bさん。「家が古くなってしまったので、お風呂をリフォームしたいと思っているのですが、どんなところを気を付ければよいでしょうか」という既存の在来浴室(※1)からユニットバス(※2)にリフォームする際の、ご相談でした。

(※1)駆体の上にモルタルを敷き、その上にタイルで床や壁等を仕上げていく工法をとる事が多い。システムバスと違い、大きさや仕様を選べるため、自由度は高いが、防水面では劣る。
(※2)ユニットバスとは、工場であらかじめ天井・浴槽・床・壁などを成型しておき、現場に搬入した後にそれらを組み立てる浴室の事「ユニットバス」、「システムバス」ともに和製英語。英語ではbath moduleという。

大抵の家は、浴室などの水廻りから先に傷(いた)んできます。浴室の壁や床を壊してみると、柱の元のほうが腐っている場合がほとんどです。
柱が腐っていても、残っていればまだいいほうで、柱や土台すらも腐って無くなっている場合があります。

ですから、耐震補強などをするには、お風呂のリフォームをするときが最大のチャンスです。
柱や土台などが傷んでいる部分を取替え、ホールダウン等の金物補強も一緒にできてしまいます。

そこで、私は「家が古くなっているのであれば、柱、土台が腐って傷んでいると思いますので、この際に取り替え工事まで視野に入れて取り組まれることです。工事業者さんが決まっているのであれば、(既存の浴室を)壊し始める前にその旨をお伝えしたほうがいいですよ。」とお話すると、

Bさん。「そういう事って、こちら(施主)から言わないと、やってもらえないことなんでしょうか?」
私「もちろん、言わなくてもアドバイスしてくれる建築リフォーム業者さんもいらっしゃるとは思いますが、私の知る限りあまり期待はできないと思います。」
Bさん。「そうなんですか、わかりました。お願いしてみます。それから、ユニットバスは、どこの製品がお薦めですか?」
私「T社のユニットバスを一度ショールームでご覧になってから判断されるのがよいかと思います。もしかしたら、業者さんには、柱、土台の交換の件も、T社の件も頭から拒まれるかもしれません。そのときは、何故その製品はダメなのか?、何故柱、土台が傷んでいるのに交換や補強をしなくてよいのかを十分にお聞きになって、納得されることが、重要だと思いますよ。もしもBさんの、納得できる説明をしてもらえないようでしたら、断るくらいのことをお伝えするべきだと思います。」
Bさん。「わかりました、気が小さいので自信ありませんが、頑張ってみます。本当に腑に落ちるアドバイスありがとうございました。」

私とBさんは、以上のような会話を交わし、その日は大変納得されて帰られました。

後日、Bさんが再び来社されました。工事が無事に進行しているので、アドバイスのお礼にでもみえたのだろうと思い、「バスリフォームはうまくいってますか?」とたずねました。

ところが、その5分後、私の予想が見事にはずれたことを知ることになります。

私のアドバイスどおり、リフォーム工事会社のC社長にBさんの要望を伝えたところ、T社ユニットバスの件は、どこの製品でも変わりないと受け入れてもらえませんでしたが、「壊してみて柱、土台等が傷んでいたらその部分を取り替えて、補強します」と約束されたそうです。

その言葉にBさんは妥協半分で納得されたようです。
ところが実際に解体が始まると土台近辺のタイルの壁は剥がさず、工事を進め、床コンクリートを打設してしまったとのことでした。

Bさんは、C社長に約束と違うことを訴えると、「寸法を測ってみると、土台周りのタイル壁は壊さなくても、ユニットバスが入ることが分かりました。わざわざ壊す必要がないので、壊さずに工事を進めました。」と悪びれもせず答えたそうです。

これは、明らかに意識のない「手抜き工事」でした。
私は唖然として、半分諦めムードが漂うBさんに「それでいいんですか?建物が古いから心配だと仰っていたじゃないですか。表面的に綺麗になったり、便利になっても、一時的に過ぎませんよ。」と問い詰めてしまっていました。

過去に私は悪いのは建築業者だけではないといいました。ところが、今回の場合は明らかに業者の責任です。悪気はないのかもしれませんが、施主から、ヒントを与えられているにも関わらず気が付かないということ自体、偉そうな言い方になるかもしれませんが、私はこの業者に工事をする資格はないと感じました。

日本では、Bさんのように強く言えない施主さんが、思いのほか多いので、このような業者が生き残り、蔓延しているのだと思います。

反面、少数とはいえ、こっちは金を払っているのだから、業者にはどんなわがままも言う権利があると勘違いしているお客様Dもいますが、このようなお客様には、C社長は米つきバッタのように平身低頭で理不尽なわがままを聞いてしまいます。

ですから、お客様Dはますます付け上がります。

つまり、C社長は理想的なお客には不満足な工事しかせず、理不尽な要求をするお客様Dには必要以上のサービスをしてしまいます。当然、利益など出せないでしょう。

しかし、何故このような誰でもわかりそうなことが行われてしまうのでしょうか?
今回の一連の出来事(事件)を通して、私なりに気が付いたことがあります。お客さんが、何のためにこの工事をするのかを、多くの建築業者、リフォーム業者は考えていないか、間違っているからだと思います。

例えば、今回の例で言えば、C業者はユニットバスを納めることが目的になっています。(もちろん、水やお湯がでることは当たり前のことですが)ところが決してそれだけではないはずです。

高額のお金と時間を犠牲にして、一時的に不便をしいられても工事をするわけですから、近い将来、柱や土台が腐ってしまい、直したばかりの浴室を壊して改めて補強工事をしたくはないと思いませんか?
それ以上に大地震が起こり、そこが原因となり家が崩れてしまい、住む人に不幸が訪れることを望んでいる人は誰一人としていないはずです。

どんなことも、人は幸せになるために、何かを犠牲にしてでも行動をおこすのだと思います。

C業者が、そこまで考えていれば、タイルを壊さなくてもユニットバスが入るからという理由だけで、柱、土台の状態を確認できる唯一の機会を逃そうとするはずがありません。

何かをする意味をもっと考えることが最も重要なのだと思います。今回は業者を悪役にしてしまいましたが、お客様も同じだと思います。

厳しいかもしれませんが、何かをする意味をもっと深く考えていれば、このような業者を選ばないという選択肢もあったのではないでしょうか。

Bさんは、もう一度C社長に訴えてみると言われました。
柱や土台の安全が確認でき、安心で幸せな住まいになることを心から期待しています。

 

■□■プロフィール■□■

株式会社大東建設
http://www.heiwadai.jp/

住まいの新築、増改築、リフォームをする場合、その目的は何だと思いますか?
そこに住まう人々が幸せになることです。
そんなの当たり前だと思われるかもしれません。
ところが、ほとんどの家は幸せになるという目的を果たしているとは思えません。
幸せになるために避けて通れないのが、まずは健康ではないでしょうか。
幸せになる条件があるとしたら、健康がすべてではないかもしれません。
ところが健康を害してしまうとすべてを無くしてしまいます。
本物の家を追求すればするほど、そう思えてしかたありません。
すべては健康の上になりたっているのです。
本物の家とは、家を建てることが目的であってはなりません。
人と家の健康をベースにして、その他の付加価値はそれからだと思っています。
とはいっても、私どもがわかっていることは、ほんの一部です。
住まいを建て、そこに住まう人々と一緒に進化していくしかありません。
そんな、必ずしも登るばかりではない、成長の道程をお話させて頂き、少しでも、お役にたてることが
できましたらと思っております。

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