本物研だより

特集

未来まで持続可能な地球を作っていくために

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『100 年続く農業を』というメッセージを掲げて活動されている
『株式会社坂ノ途中』代表取締役 小野邦彦氏に農業という視点からお話しをお聴きしました!

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小野さんは現在農業に携わるお仕事をされていますが、
なにがきっかけだったのでしょうか。

私は学生時代にバックパッカーをしていました。遺跡が元々好きで訪ねて回るうちに“遺跡=社会が終わった跡”であることに気付き、世界中で多くの社会が終わっていることにだんだんと恐怖を感じるようになりました。そういう視点で旅した街々を見ると、その中に“終わり”が紛れていること、都市生活がとても近視眼的な営みであることが分かってきたのです。

一方で“ここの生活はずっと続けられる”と思う場所もありました。
例えば、チベットで2カ月間生活をしたのですが、チベットは高地で植生が乏しく、手に入る資源も限られていました。だからこそ、その少ない資源の中で上手にやりくりしていました。

シアバター草をヤクが食べて、ヤクの糞尿が農作物の肥料になるというように、循環が目に見えるかたちで回っていたのです。これは持続可能だと感じました。このような生き方のかたちに触れたことで、近視眼的な生活はしたくない、持続可能な世の中を作っていくための仕事がしたいと思うようになりました。

大学生活ではアンティークの着物を販売していました。この活動に携わるまで、社会に出て働くなんて嫌だな、と思っていたのですが、ビジネスは自分の想いを伝える手段になりうる、と気付きました。そして大学を卒業後2年間は金融業界でサラリーマンをし、ビジネスの修業をしました。

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その後に『100 年続く農業を』ということで活動を始められたのですね。

世界を旅し自然環境と人との関係を見つめなおす中で、農業がその結び目である、持続可能な農業が持続可能な社会につながる、と考えるようになりました。

そして「100 年先も続く、農業を。」というメッセージを掲げ『株式会社坂ノ途中』を設立しました。

仕事をしながら農業について学んでいった結果、学生時代に遺跡巡りをしながら感じていた恐怖感が正しかったという答え合わせもすることができました。

“社会の終わり”の多くの原因は土が痩せたことにあります。人は緑の多い場所に集まり社会が生まれます。緑豊かな場所でも人が過度に集まることで、“食料を安定供給しなければ!”というプレッシャーがかかり、その結果収奪的な農業が広がり、農地が痩せて社会が終わっていったのです。

社会を続けていく上では“今”ではなく“持続可能”ということが大切だということが分かります。

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ところで、なぜ『株式会社坂ノ途中』という社名をつけられたのですか?

環境負荷の小さな農業を志しているのは、昔から農業をしてきた方ではなく、新しく農業を始める方(=新規就農者)に多いのです。現在有機農業を行っている人は農家全体の1%もいません。一方で新規就農者の7~9割が有機農業をしたいと望んでいます。

つまり、志をもった新規就農者を増やすことが、環境負荷の小さな農業の実績によりつながるのです。新規就農者、若手農家が農業を続けられるようにしたい、成長の途上にある彼ら、彼女らのパートナーでありたいという想いを込めて『坂ノ途中』という名前をつけました。

実は、新規就農者の多くはせっかく始めても続けられず辞めてしまいます。それを『最近の若い人は根性がないなぁ』と言われてしまったりするのですが、そうとは限らないな、と思うのです。

シアバター新規就農者の多くは、周りに止められても、世の中を変えたい、と就農した人たちです。だから、沢山勉強して、沢山働きます。続けられない一番の理由は、販路が見つからないからです。そして、新規就農者が借りるのは空いている農地です。空いているのは、他の農地よりも狭く、水はけが悪い、さらに動物被害を受けやすいなどの条件が悪いからということが多いのです。

それから、設備や機械が揃っていないこともあり、収量は少量不安定になりがちです。たとえ品質が良くても、少量不安定な野菜を買い取ってくれる流通企業や販売店は本当に少ないのです。結果収入が安定せず、仕事を掛け持ちしていくうちに体調を崩して辞めていってしまうということが現状です。

私たちはこの現状を変えるため、少量不安定でも品質がよければ買い取り、農産物の価値を伝えながら販売していく事業を行っています。現在は約70件の農家さんと契約をしていますが、9割が新規就農者の方です。

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初めは未来に向けての農業を支援して、人材を育てていく活動をされた訳ですね。
そこから海外の活動をはじめられたのですよね?

ウガンダに初めて行ったのは会社を創立した3年後でした。私たちが遠いアフリカで有機農業の普及事業を始めたのには理由があります。

ウガンダをはじめとするアフリカ諸国ではいま、農薬や化学肥料の使用が拡大し続け、水質や土壌の汚染が進んでいます。経済発展と人口増加に伴い、その使用量と影響は今後ますます大きくなっていくことも考えられます。これから農業を拡大していく地域でこそ、環境への負担の小さな、持続可能な農業の普及のために働きかけていく必要があると考えています。

ウガンダはここ数十年の間に深刻な気候変動、とりわけ乾燥化が進んでいます。雨の量が20%減ると収穫量も20%減ると思ってしまいませんか?実は雨の量が減るというのは、毎日の降水量が減るのではなく、雨季自体が短くなることなのです。農作物は雨期に育てて、その最後に一気に収穫することが多いです。雨季が短くなると、時間をかけて育てた農産物が収穫の直前に枯れてしまうことなのです。収穫量は20%減ではなくもっと多く、たとえば80%減ってしまうこともあります。

そこで、雨が降る時は高く売れるトマトやキャベツなどを育て、雨が降らなかった時には高くは売れないけれど水がなくても育てられる胡麻を育てるという選択肢をもっていただけるように提案し、育て方を伝えたり、生産者組合と協業して日本に輸出しています。

このようなウガンダでの取り組みの中で出逢ったのがシアバターでした。シアの樹はもともとウガンダ北部に自生していたもので、現地では昔からどの家でも実を食べ、種を絞って油にし、料理に使用したり、肌や髪の毛に塗ったりして使用しています。私たちが輸入するシアバターの産地であるウガンダ北部は内戦により深刻な影響を受けた地域で、避難キャンプから人びとが戻り生活を再建している最中です。

畑は荒れ果ててしまい、家畜はいません。生活するための現金収入として、ずっと共に生きてきたシアの樹を切って売ってしまう動きが出始めていました。
私たちがシアバターを買うことで、シアの樹を守り、シアの樹と寄り添う暮らしを守ることができるのです。農薬・化学肥料は一切使わず、現地の工場で丁寧に加工した100%天然由来の、優しくやわらかなシアバターです。

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シアバターナイロティカを日本で販売することを通して、復興支援だけではなく、品質の高い、良いシアバターを皆さんへお届けしたいと思っています。

シアバターナイロティカの詳細はこちら

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■□■プロフィール■□■
サンラメラ

小野 邦彦(おの くにひこ)
株式会社坂ノ途中
代表取締役

1983 年 奈良県生まれ。
地元では、ご両親がおいしいお野菜を作っており、お野菜だらけの環境の中で育つ。
京都大学に進学後、アンティーク着物にハマったり、休学してアジア圏を旅行したりと、好きなことをとことん追及した挙句、専攻していた文化人類学の奥深さに気づき、ラスト一年だけ猛烈に勉強されたとか。
そんな日々を通じ、自分が一番関わりたいのは、人と自然環境との関係性を問い直すことなのだと気づき、有機農業にその可能性を見出す。
2 年余りの、大手金融機関での修業期間を経て、2009 年夏、株式会社坂ノ途中を設立、現在に至る。

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