「効果がある節電」と「しなくてもいい節電」
東日本大震災以来、電力不足が私たちの生活に多大な影響を及ぼしています。しかし、行き過ぎた節電は生活にストレスがかかり、生活の質(クォリティ・オブ・ライフ)を低下させてしまいます。今回は少しでもストレスを減らしながら、効果のある節電方法を考えてみました。
まずは、節電において常識と思われているものを本当に正しいかどうかを検証してみます。
【間違った常識1-1?】
家に帰ったら、まず低い温度で短時間、部屋を冷やしてから、高めの温度設定にするとよい。
冷房の場合、設定した温度に室温を下げるために起動時に多くの電力を消費します。夏場暑い部屋に帰ってきて、すぐにエアコンのスイッチを入れがちですよね。ところが、高い室温の部屋を冷やすにはそれなりの電力が必要なのです。エアコンをつける前にまず窓を開け、換気扇を使うなどして、部屋の熱を逃がして下さい。それからエアコンを入れるとエアコンの電力を抑えられます。
⇒よって× エアコンを付ける前に部屋の換気をして少しでも部屋の熱気(温度)を冷ましてからエアコンをつけるようにすれば、節電には効果的です。
【間違った常識1-2?】
10年前のエアコンを最新型のエアコンにすると、エアコンの電気代は半分になる?
エアコンを最新モデルに買い替えるとどれぐらいの節電になるのでしょうか。エアコンは毎年省エネ化が進んでいます。購入して5年以上経過したエアコンを買い替えると確実に節電できます。目安として、10年前の製品から最新型に買い替えると、年間でエアコンにかかる電気代は半額になります。
次にお手入れも重要です。エアコンの電力消費を抑えるには、2週間に1度のフィルター掃除が基本です。しかし手間もかかります。そこで現在売られている製品には、フィルターの掃除機能が搭載されていることがあります。手間をかけずにこまめにフィルター掃除ができるので人気です。フィルター掃除で、5%の節電になります。
エアコンは、待機電力にも注意しましょう。10年前の製品は待機電力が5W程度ありましたが、最近の製品は1W以下になっています。さらに最近の製品は待機電力が0.1Wの製品も出てきているのでコンセントを抜く必要はありませんが、もし古いエアコンを使っている場合は、電源を切るだけでなくコンセントも抜いておくと節電できます。
⇒よって○ エアコンは省エネ化が進んでいます。ただし、あくまでも、次々に買い替えるというのは、大変な資源の無駄使いです。いくら電気を節約してもその他資源の無駄使いになってしまっては本末転倒なので、バランスを考えることが重要です。
【間違った常識1-3?】
扇風機の音は、羽の数が多いほどうるさくなる?
扇風機も節電タイプが人気です。従来製品に比べて半分の消費電力で動作する扇風機も登場しました。【新林の滝】も節電タイプで、昔から節電を売りとしてきましたよね。
さて、扇風機は羽根の枚数が多いほど静かになります。
室内の空気を循環させるなら風量の多いサーキュレーターがおすすめです。扇風機に比べてより遠くへ風を送れます。ただ、動作音が多少うるさいかもしれません。
⇒よって× 羽の枚数が多いほど、静かになります。
消費電力が白熱電球の1/6から1/7に抑えられるLED電球に注目が集まっています。交換するだけで消費電力を抑えられるので、意識せずに節電できます。(もちろん、省エネに限ってです。デザインや照明効果の点においては、まだまだ電球のほうが優れていると思います。)
【間違った常識2-1?】
LED電球の消費電力は白熱電球に比べると1/6、電球型蛍光ランプに比べても1/4です。
LED電球と電球形蛍光ランプは白熱電球と比べると消費電力が少ないのですが、同じ明るさで比較するとLED電球の方がより節電効果が高くなっています。節電対策が目的なら消費電力が少ないLEDランプを選ぶのが効果的です。
電球形蛍光ランプは白熱電球に比べて77%節電できますが、電球LED電球なら83%節電できます。
ですが、価格を見ると、LED電球と電球形蛍光ランプでは、倍の価格差があります。この本体価格の差を考えると、長時間使う場所ほど、電気代が節約できるLED電球を使うと良さそうです。
⇒よって× LED電球の消費電力は、白熱電球に比べると消費電力は約1/6で、電球型蛍光ランプは1/1.3程度。
【間違った常識2-2?】
LED電球の弱点は100%の明るさになるまでに少し時間がかかること。
白熱電球とLED電球はスイッチを入れると瞬時に明るくなりますが、電球形蛍光ランプは100%の明るさになるまでに多少時間がかかります。LED電球は、すぐ明るくなってほしいトイレや玄関などの利用に適しています。また、LED電球は約4万時間という圧倒的に長寿命なのが特徴です。交換に手間がかかる高所に設置するならLED電球がおすすめです。
LED電球は蛍光灯のように、電球色と昼白色が選べます。
柔らかい光が好みなら電球色を、色を鮮やかにしたいなら昼白色を選ぶといいでしょう。製品によってはリモコンで電球色を変更したり、調光機能を備えたLED電球もあります。
⇒よって× LEDはスイッチのオン・オフに強く瞬時点灯ですが他の照明に比べて光が広がらないのが弱点。
【間違った常識3-1?】
テレビの節電に一番有効なのは、コンセントを抜くことである。
震災後、TVや新聞報道などで、東京電力管内全体でTVのコンセントを抜いて待機電力を削減すると、38万kwの節電ができるという報道がなされました。しかし、最近のAV機器の待機電力は、ここ3~5年で大幅に削減されています。例えば、待機電力が0.05Wしかない機種も登場しています。
コンセントを抜くことでの節電効果はもちろんありますが、ハードディスクを搭載しているレコーダーに関して言えば、コンセントを抜けば留守録ができませんし、うっかり録画中にコンセントを抜けば、HDDが破損して、録画している番組の全てを失うことになります。むやみにコンセントを抜くのではなく、主電源スイッチを活用したり、レコーダーなら設定を見直して節電する方が現実的ではないかと思います。
⇒よって× AV機器の待機電力は、ここ3~5年で大幅に削減されており、本体にある主電源スイッチを切れば、コンセントを抜かなくても待機電力を限りなくゼロにできる製品もあるので、新しい機種では必ずしもあてはまりません。
ですが、むやみに買い替えを薦めてるわけではありません。エアコンと同じくバランスを考えた上でお願いします。
【間違った常識3-2?】
テレビの画面の明るさや音量は、消費電力とはほとんど関係がない
テレビの輝度は暗くすれば節電になります。薄型テレビは購入時に最も電力を消費する「鮮やか」になっている場合が多いので、これを「標準」や「おまかせ」にするだけでグッと節電に。最近では録画機能を備えたレコーダーテレビが人気です。視聴をガマンするのではなく、録画機能を上手に活用して電力ピーク時の番組は録画し、オフピーク時に集中して視聴すると、あまりストレス無く節電ができます。
⇒よって× テレビは薄型テレビ、ブラウン管テレビを問わず、画面を明るくし、音声を大きくするほどに消費電力が増します。
【間違った常識3-3?】テレビの前から離れると、自動的に消費電力が半分になる機能を備えた商品がある
⇒○です。実際にあります。 テレビの前から人が離れると自動的に画面を消す「消画モード」に切り替わり、消費電力を50%削減する機能をもつものまで登場しています。
レコーダーテレビは節電だけではなく、時間の節約になります。私の場合、映画好きなので、数多く見ます。かと言って
人より多く時間があるわけではないので、このレコーダーテレビが大活躍です。
昼間や夜中の時間に放送されている映画を録画しておいて、倍速で再生します。コマーシャルは申し訳ありませんが飛ばさせてもらいます。このCMを見ないだけでも2時間あたりの映画で30分は節約できますので、合計では半分を大きく下回る時間で観劇できてしまいます。
そんなに、速く観ても、内容がわからない。と思われるかもしれませんが、実際には慣れてくると標準のスピードがスローモーションのように感じ、終わってからも、より記憶に残っていることさえあるくらいです。これぞ、新しい設備の価値だと思います。
もちろん、時間が短縮されれば、節電にも繋がりますので、この方法はお薦めです。
その他にも大変多くの利点がありますが、今回はこれくらいにさせて頂きたいと思います。
多くの人々が、「あまりストレスを感じない節電」を実行されて、原発などに頼らなくてもすむ世の中を実現することができれたら、こんな素晴らしいことはないと思います。
■□■プロフィール■□■
株式会社大東建設
http://www.heiwadai.jp/
住まいの新築、増改築、リフォームをする場合、その目的は何だと思いますか?
そこに住まう人々が幸せになることです。
そんなの当たり前だと思われるかもしれません。
ところが、ほとんどの家は幸せになるという目的を果たしているとは思えません。
幸せになるために避けて通れないのが、まずは健康ではないでしょうか。
幸せになる条件があるとしたら、健康がすべてではないかもしれません。
ところが健康を害してしまうとすべてを無くしてしまいます。
本物の家を追求すればするほど、そう思えてしかたありません。
すべては健康の上になりたっているのです。
本物の家とは、家を建てることが目的であってはなりません。
人と家の健康をベースにして、その他の付加価値はそれからだと思っています。
とはいっても、私どもがわかっていることは、ほんの一部です。
住まいを建て、そこに住まう人々と一緒に進化していくしかありません。
そんな、必ずしも登るばかりではない、成長の道程をお話させて頂き、少しでも、お役にたてることが
できましたらと思っております。
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