本物研だより

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第十回「丹田物語 其の七」

京都南座の顔見世興行に、私がファンの板東玉三郎の観劇に行きました。

私は子供時代に日本舞踊をやらされていた期間があります。イヤで嫌でたまらなかったのですが、そのおかげもあってか大人になってからは踊りの筋道や踊り手の上手下手が判り、一般にいう鑑賞眼という目が見えるようにもなりました。

また、数々の踊りの経験は身体の偏りや癖の状態、さらに身体内の僅かな異常感覚も敏感に察知する能力をも高めてくれて、自らの力を総動員して調整してくれてもいます。このこともあって今に至るまで有り難いことに、風邪もほとんどひかない元気を形成してくれてもいます。

私の血の中には隔世遺伝での道楽者の片割れが入っているようで、これまで数々の学び事をしてきました。その自分の経験を顧みて「芸には人の裡に眠る花を咲かせる力がある」と、おもっております。現在の子供達はもっぱら知育に偏った育ち方をされておりますが、心の感受性や困難を頑張り抜く体力などを涵養する、心身体育も重要だとおもうのは私だけでありましょうか?

古語にあります「急がば回れ!」という思考法は、社会性豊かな活動を行える人作りなどの人間教育に重要な要素だとおもうのです。この「急がば回れ!」は社会人の心得としても重要で、仕事や学び事などですぐ結果を出すことばかりをしていると、人生の味わいも、出会いの妙も、人格や人間性向上の機会も得られない、感じられないままで過ごすことになり、老いて『孤舟』の人となり果てます。

若さは、それだけで花でありますけれど、学び来て体得した芸の力は人の裡に息づく生命力という花を満開にし、随所に個性豊かな彩りをもたらすのです。ただし、誰の裡にも平等にある人の裡に眠る花は、身体の奥底にあって、残念ながらほとんどの人では気づかぬママで生涯を終えます。

心身体育は芸や鍛練という自然の法則性に随順な「型」を通して学ぶのが本筋です。自然に随順な先人により洗礼されて完成した「型」は、万物の霊長とか神の子といわれる人間の性根をたたき直し、人生という舞台で個性豊かな主役を務めるだけの力を生み出します。

私は三十代から不老不死、不老長寿の力を生み出す丹田形成法である『聖中心道肥田式強健術』を学ぶ機会をえて、現在、一指導者としての立場におります。じつはこの強健術という体系は、一体育の学びに止まらず自己療法や治療術、健脳法から雄弁術、護身術から超能力発現法などなどまで、じつに人生万事の処世術でもあります。その処世術のいっさいがっさいが臍下丹田の活性でもたらされるというのです。(つづく)

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